対話(ダイアローグ)で自己発見

対話(ダイアローグ)という考え方が広まりつつあるらしい。
対話?
対話ならいつもしるてけど?
会話と、どう違うの?
今、改めて対話が注目されるのはなぜ?

まずは、体験ということで、対話会に参加しました。

目次

里山で、焚火を囲んで対話会

5月1日、新月の日に、葉山の山の中で焚火を囲んでの対話会。
ずっとお会いしたかった旧知の方主宰のイベント。
これは体験してみるしかありません。
アウトドアのため防寒着や、椅子や、色々準備していましたが。。。。
当日は、まさかの雨。。。
本降りで。。。
急遽、テントの中での対話会となりました。

今回は、こちらの本のの著者である大澤真美さんがいらっしゃいました。
土砂降りの中、迷子の私を拾うために車を走らせてくださる愛ある方。。。
ありがとうございます。

こちらの本の一節を、真美さんが朗読されるところから対話会がはじまりました。

5人ほどの人数で車座になり、今回は特にテーマを決めずに対話のスタートです。
対話は、論理的に議論を重ね、何かしらの意思決定をする会議とは違います。
また、そこに出たアイデアに、次々アイデアを重ねていくブレインストーミングとも違う。
お互いを共感しあうグループセラピーとも違う。

言葉は、ただそこに「出す」「置く」。
そして、それに対して、誰かが自分の考えや、感想を言ってもいい。
言わなくてもいい。
違う話を提示してもいい。
正しい正しくないとか、自分の考えと同じ違うなどとジャッジしない。
じっくりお話を聞く傾聴の姿勢はベースとしてありながら、そこに「出た言葉」に対して、何かをしなければならないというルールはないのです。

対話と何なのか

さて、車座の中でゆっくりと交わされた会話は、ひとつ共通点があります。
それは、
「自分発」
であるということ。
話の流れの中で、自分の感じること、思いついたことを、ぽつりぽつりと話していきます。
対話では、言ったことに対してジャッジされないという安心感もあり、自然体で言葉を出すことができるのですね。

なかなか説明が難しい「対話」なのですが、端的に表現された定義は下記のようなものです。

①共有可能なゆるやかなテーマのもとで
②聞き手と話し手で担われる
③創造的なコミュニケーション行為

引用)ダイアローグ対話する組織 中原淳 長岡 健 ダイヤモンド社

シンプルですね。
そして、①のテーマについて、同書では「人々が日々の生活の中でコミットしうるテーマ」がよいと書かれています。
より本質的で、内面からの言葉を促すようなテーマが向いているようです。

さらに、創造的なコミュニケーションにするために参考になりそうな原則がこちらです。

①互いに対等の存在であることを認める。
②相手に対してつねに好奇心を持つように努める。
③良い聞き手になるためには、互いに助け合うことが必要であると理解する。
④急がずに、考えたり振り返ったりする時間をとる。
⑤語り合うことは人間がともに考えるための自然な道であることを思い出す。
⑥ときには混乱も覚悟しておく。

引用)もしも、あなたの言葉が世界を動かすとしたら マーガレット・ウィートリー  PHP研究所

参加者がこのような心構えのもと、交わされる言葉、その重なりが、「対話=ダイアローグ」と言われるものなのですね。

体感して感じた対話=ダイアログ【同じ景色を眺める】

 実際に対話を体験してみて、対話とは、参加者が、ゆるく同じ景色を眺めている感じだと思いました。
ここでいう「景色」は、言葉によって生み出される「景色」です。

私は、キャリアカウンセリングや、ブランディングのヒアリングをおこなう時、クライアントの方が、見ている景色を言葉で表現していただき、それを一緒に眺めることに努めます。
ひとつひとつの言葉の意味を考え、イメージし、ありありと想像しうるまで質問を重ねます。

また、講師の仕事や、新しい講座のご紹介をしているとき。
今度は、こちらが頭に描いている景色を言葉にして、イメージしていただくようにします。
なるべく具体的に描写しながら、こちらのイメージに参加してもらえるようい言葉を重ねます。

一方で、【対話】においては、どちらか一方の見えている景色について強要するものではありません。
そこに出された「言葉」から想像しうる世界を、皆でふんわりと眺める。
そして言葉が出るもよし、出ないもよし。
それでも、対話の流れのようなものは生まれてきて、そこで自分が発する言葉、メンバーが発する言葉から、様々な気づきがあるのです。

体感して感じた対話=ダイアログ【味わう】

その感覚は、そこに「出た」言葉を、ゆっくりと味わうといった言葉がぴったりかもしれません。
味見してみる。

咀嚼してみる。

あぁ、どこかで出会った味だな。
私なら、このスパイスを足すな。
次のヒトサラはこれがいいかな。

共に味わう感覚です。
強いて言葉にするなら

なるほど

でしょうか。
その方の言葉に、考えに「なるほど」と。
何もジャッジせず、味わい、感じる。

考えてみれば、このような言葉のやりとりは日常生活にあまりないと感じます。
対等な立場で、全ての役割をおろして、自然体に出てくる言葉をお互いに味わう。

あ、でもありました。
こんなシーンを思い起こしました。

BARでの対話

それは、BARでの会話です。
並んでカウンターに座って、目に入るのは様々なお酒のボトル。

そして、端正な動きをするバーテンダーの方を見るともなく見ながら。
ちょっとお酒が入ってリラックスして交わす言葉は、日ごろ言葉にしないようなちょっとした自分の経験や考えや。

意外にも、常に緊張している私にとって、こんなお酒の場は、とてもリラックスできる、本音で話せる場なのです。
あまりにもお酒の量が多くなったり、悩みごと相談になってしまうと、雰囲気が違うと思いますが、適度なゆるさと、自由なテーマ、日頃言葉にしない本音の会話。
議論するわけでなく、過度に同調するわけでもない、BARでのゆるいコミュニケーションは「対話的」かもしれません。

BARに行かないまでも、同じ景色を眺めながら、ゆったりと会話するという意味では、何か景色のよい自然の中でも、家で暖炉を囲んでも、同じかもしれませんね。
そして、お酒でなくても、それぞれの方がリラックスできる状態をつくり出せたらいいですね。

FIKAな時間

そんなリラックスできる会話で、思い起こしたのが、スウェーデンのFIKA。
甘いものを食べながら軽い会話を交わすお茶時間の習慣です。
それは、仕事や勉強のリフレッシュの他に、会話で周囲と円滑な関係を保つ目的もあるそう。
甘いものでリラックスしながらの会話は、ちょっと役割から離れて、自分らしい言葉が出てきそうです。

FIKAの目的は、休息と言う意味あいだけでなく非常に重要なコミュニケーションのきっかけとして重視されています。
同じ時間に仕事の同僚や家族、友人と1つの部屋に集まり、コーヒーやお菓子を食べながら雑談をしたり週末の予定をたてたりして会話を楽しむことが1つの目的。
FIKAの時間帯では仕事の上司や部下、教員と学生など身分や立場は関係ありません。
仲間として会話を楽しむ、これが大事なのです。

引用)Euro traveler HP

ほとんどの人がFIKAをしている10時と3時は、電話をしても出てくれないとか。
雑談という面もあるので、所謂「対話」とは違うかもしれませんが、このような自然な感じで、職場でも、家庭でも、「対話」が生まれるといいなと思います。

さぁ、これから対話しましょう。
対話の原則は。。。

といった時点で、対話でなくなっている気もするので。

相互的であることの意味

 今、企業においても、対話が注目されている要因として、取り組むべき課題自体が曖昧で、つかみどころがないという環境があるようです。
同じ方向を目指して、皆で突き進む時代ではなく、目指すべき方向自体を共に探索していくことが求められていると。

では、なぜ対話をすることで「共に探索する」ことに繋がるのでしょうか。
それは、コミュニケーションの質的な変化があるようです。

コミュニケーションを「情報の移動」と理解している限りにおいては、共有できているのは「情報」だけ。
相手の考えている価値前提や行動の背後にある世界観を共有していなければ、たとえ妥協点が見つかったとしても、全員の思いをひとつにして行動するこはできません。

引用)ダイアローグ対話する組織 中原淳 長岡 健 ダイヤモンド社

対話の形で、言葉を重ねることで、情報だけでなく、その考えに至った背景を垣間見ることができるのですすね。
心をひとつに
なんてことが、簡単に言えなくなった今、お互いを理解しあい、アイデアの背景も共有していく中で、進むべき道を見出していく。
わかりあっていると思っている身近な人たちとも、改めて「対話」を意識することで、お互いの価値観を知り、新しいものを生み出すきっかけになるかもしれません。

また、他の人の考えを聞くこと、自分の中から沸いてくることを言語化することで、自己理解が深まるのも対話の大きな効果です。
自分らしさとは、人との関係性の中で生まれる。
私の扱っているセルフブランディングにおいても、ブランディングの定義を「差異化」※としています。
他の人との「違い」こそが、「自分ブランド」なのだと。
人と相互に語り合う中で、「差」に気づき、「自分らしさ」が見えてくる。
対話が、「相互的」であることで、自己発見にも繋がりそうです。

※参考)ブランディングデザインの教科書 西澤明洋 パイインターナショナル

里山での対話を終えて

もともと、ふんわりと物事を捉えるたちの私には、対話はとてもフィットする考え方です。
里山での対話会。
最後は、チェックアウトと称して、その日の感想を述べあいました。
私に、対話のことを教えてくれた師匠曰く、
「対話は場とプロセスが大切」とのこと。
今回、残念ながら焚火はできませんでしたが、山の雨音を聞きながらの対話会は、ちょっと非日常な体験でした。
これから、様々な「場」で、対話をしてみたいなと思います。

経験の価値化 × 対話

このコラボレーションは、凄い可能性を秘めていそうです。

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この記事を書いた人

藤崎 晶子のアバター 藤崎 晶子 ブランディングコンサルタント・セカンドキャリアコーチ・国家資格キャリアコンサルタント

食品、外食、化粧品のブランドマネージャーを経て、2001年より独立。オリジナルメソッドで、イメージコンサルタント養成、独立起業ブランディング、また、企業研修、講演などをおこなう。
多忙な中での高齢出産後、自身のブランディングに迷い、体調まで崩すことを経験。どのような時でも、「その時の自分」を真摯に見つめ認め、「持てる経験を価値にするブランディング」の大切さを痛感する。2020年よりコーチング、ブランディングの仕事を本格化。
現在は、セカンドキャリアのサポート、あいづち道場の主宰、ブランディング×キャリアデザインで、組織・サービス・人の【らしさを言葉に形に】することをサポートしています。

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